『松代大本営』はまるでアニメに出てくるような地下迷宮!
長野市松代町。真田氏10万石の城下町として栄えた山あいの盆地は…太平洋戦争末期、日本の首都機能が移される計画があったのです…!
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こちらの記事は【冬の信州温泉旅行記】よりお届けしています。
幻の首都移転計画!長野県松代町は日本の首都になるはずだった!?
昭和19年7月。サイパン島陥落による戦況悪化を受けて、時の東條英機内閣は、かねてから調査されていた長野松代への首都機能移転計画を閣議決定しました。
その計画では、政府各省庁の首脳部、軍部総司令部(大本営)、NHK、中央電話局、そして皇居機能(天皇御座所)や宮内庁までもを、ここ長野松代に掘られた地下壕へ移すという壮大なもの!東京にある首都機能中枢部をそっくりそのまま移すつもりだったようです。
なぜ松代が選ばれたのでしょう?それには、いくつか理由があるようです。
- 本州の陸地の最も幅の広い(海から遠い)ところにある
- 付近に長野飛行場がある
- 固い岩盤で10t爆弾にも耐え得る
- 山に囲まれ地下工事をするに適している
- 長野人は労働力に富み、純朴なため秘密が守られやすい
- 信州は「神州」に通じる
最後の「神州」に通じる…は戦時の精神論にも通じる、如何にも日本らしい理由ですね。
ここ『松代大本営』の建設が始められたのは、昭和19年11月11日。1並びのありがたい数字にこだわって工事は開始されたようです。この工事は、硬い岩盤をダイナマイトで爆破し、砕いた石屑はトロッコなどを使って人海戦術で運び出すという方法で行われました。工事には、徴用された日本人労働者の他、朝鮮人労働者、周辺の学生も学徒として動員され、昼夜兼行の大工事だったようです。
『松代大本営』の周辺には、実際に天皇にお移りいただくための地下宮殿も作られ、御座所とその皇位の象徴でもある三種の神器も共に移される予定だったと言われています。
昭和19年から1年半に渡る突貫工事の結果、『松代大本営』の地下壕は、碁盤の目状に張り巡らされた街区が8割がた完成、その地下道の総延長は10kmにも及ぶ壮大な地下要塞の完成は間近でした。
しかし…昭和20年8月15日、日本政府はポツダム宣言を受諾、無条件降伏を選択したことでここ『松代大本営』の工事は中止されます。完成後は日本の首都となるはずだった計画も、実際に使用されることなく「幻の首都」として、その壮大な地下要塞だけが現在に残されたのです。
某アニメで描かれた「第三新東京市」のような新首都が…ここ長野市松代に、実際に作られていたのです。
『松代大本営』の見どころ
『松代大本営跡』は、現在は長野市の管理のもと、「松代象山地下壕」としてその一部が一般に公開されています。
内部は岩盤むき出しの地下壕。受付を済ませたら、用意されているヘルメットをかぶり、内部へと侵入します。
物々しい注意書きがちょっとしたスリルを煽られますね。入り口はかなり低くなっていますので、頭上ぶつけないようにご注意ください。
内部の様子はご覧の通り…岩盤剥き出しの手堀りトンネルが奥まで繋がっています。ここはまだ入り口からの光が入りますし、手すりもついていますので歩きやすいですが、ここから奥へ進むと風景は一変します…!
現在公開されているエリアはこの赤線部分のみ。電灯や明かりも見学路以外には付けられていませんので…絶対に見学路以外には立ち入らないでください。
…とは言っても、見学禁止エリアは金網で遮られていますし、その先は自分の手すら見えない漆黒の闇。普通の人間は無理矢理入ろうとはしないでしょうが。
さて、入り口から入って、はじめの角を曲がると…風景はご覧の通り。ところどころにライトは点けられていますが、基本的にはこのような地下通路が延々と続いています。
なお、地下壕内には係員は常駐していません。緊急時は、各所に取り付けてある非常用電話をご利用ください。筆者がここ『松代大本営跡』を訪れた際は、見学者は私ただひとりだけ。前にも後ろにも…地下壕内に私以外誰もいないという状況でした。もしも何かで意識を失っていたら…なんとも恐ろしいことに。もしも電灯が切れて真っ暗になっていたら…筆者は確実にパニックで発狂すると思います…。
『松代大本営』は、碁盤の目状に地下壕がほられています。かつては、内務省、外務省、陸軍省、海軍省など、区画によって省庁のエリアが割り振られていたようです。ここは見学エリアの突き当たりですが…ご覧のような通路がこの奥にも延々と続いています。
それにしても…この地下要塞、手堀りの岩盤剥き出しの様子が何かで見たような…?あ!
家に帰ってから思い出した既視感はコレ!筆者の世代がバレますね(笑)
こちら「機動戦士ガンダム」の劇中で地球連邦軍本拠地が作られていたのが南米の地下要塞「ジャブロー」。スケールこそ異なりますが、まさに劇中で描かれていたような地下通路が…ここ長野松代の地下には今も残されているのです。ガンダムの作者も、ここを参考にしたりしたのかな?
大戦末期、のべ1万人もの坑夫を動員した幻の首都移転計画!もしも戦争があのまま続いていたら…皇居や内閣も、ここ長野市松代に移っていたかもしれません!
決して派手な観光スポットではありませんが、その壮大な地下壕は一見の価値あり!松代へお越しの際は、ぜひここ『松代大本営跡』へもお立ち寄りください!
『松代大本営』へのアクセス/駐車場
『松代大本営』の跡は、現在長野市によって管理され、「松代象山地下壕」として公開されています。
松代へは、鉄道が走っていないため、公共交通機関利用の場合はJR長野駅から路線バスてのアクセスになります。
松代の中心地である「松代城跡」や「真田宝物館」からは南方へおよそ1kmほど。古い町並みを眺めながら15分ほど歩くと到着します。
お車の場合は、上信越自動車道の松代SAから直結している松代スマートICから5分ほどです。『松代大本営跡』には駐車場がありませんので、近くの「象山東観光駐車場」をご利用ください。
まとめ
かつて日本の政府中枢が移転するはずだったここ『松代大本営跡』の地下壕。現在は、その一部が公開され内部を見学することができます。このような大規模な地下壕は、なかなか見学できるものではありません。松代にお立ち寄りの際は、せひ一度立ち寄ってみてください。
まるでアニメの地下迷宮かのような『松代大本営』の地下壕跡を見学して参りました。この後は、松代の表の顔、真田氏10万石の城下町をあるきます。【冬の信州温泉旅行記】次回もお楽しみに!
『松代象山地下壕』の基本情報
アクセス
JR長野駅より路線バス
営業時間
9:00-16:00
定休日
毎月第3火曜日
年末年始(12/29-1/3)
入場料金
無料
駐車場
象山東観光駐車場利用
アドレス
026-224-8316