『白峰神宮』は崇徳上皇の鎮魂施設!
京都市白峰神宮。平安時代に四国へ流され憤死した、日本最大の怨霊「崇徳上皇」をお祀りする神社です。
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こちらは【年末年始京都旅行記】連載からの記事をお届けしています。
『白峰神宮』の歴史
古い寺社が建ち並ぶ京都において『白峰神宮』は比較的新しい神社です。明治天皇の父君である孝徳天皇の発案により、平安時代に讃岐(香川県)に流されたまま崩御された「崇徳上皇」の魂をお迎えし慰めるために作られました。
しかし、その孝徳天皇も、ここ『白峰神宮』の完成前に崩御してしまいます。その後は、父君の意思を継いだ明治天皇によって、崇徳上皇の魂はここ『白峰神宮』へと戻されるのです。
明治天皇が即位するに際して真っ先に行ったことが…この『白峰神宮』への崇徳上皇の御霊の帰還でした。
明治天皇は、崇徳上皇の怨みに深く感じ入ることがあったのかもしれません。慶応四(1968)年
8月26日、崇徳上皇の命日当日に、讃岐(香川県)白峰陵に埋葬されていた崇徳上皇の魂に「京都への帰還を願う宣旨」を伝える勅使を派遣します。明治天皇の即位礼の儀式が行われたのは、その翌日8月27日!なんとわざわざ崇徳上皇をお迎えする儀式を待ってから、明治天皇は即位しているのです!
崇徳上皇の呪い
3歳で即位した崇徳天皇は、皇位継承の権力争いの結果、わずか10歳で皇位を下ろされてしまいます。その後、皇位を継いだ後白河天皇らと対立したことで、双方が平氏や源氏の武士達を巻き込み、朝廷を二分する争い「保元の乱」が発生。その戦に敗れた崇徳上皇は、上皇という身分でありながらなんと讃岐に配流されてしまうのです。
讃岐での幽閉生活は、数人のお供しか共しない苛酷な生活だったとされています。崇徳上皇は、この苛酷な生活の中、仏教の経典を書き写すなど、苦しいながらも大人しい生活を送ったようです。
しかし…後白河法皇は崇徳上皇に冷たい仕打ちを続けました。崇徳上皇が書き写し、寺院に納めて欲しいと送った経典を無惨にも送り返したばかりか、京への帰還を願う嘆願も無視。
これに崇徳上皇は激怒し…こう言い残したと言われています。
「我、日本国の大魔縁となり、皇を取って民とし民を皇となさん!」
そしてその後は、崩御するまで、爪も髪も伸ばし続けて夜叉のような姿のままだったと言われています。なんと恐ろしや…。
この崇徳上皇の呪いは…やがて現実になります。後白河法皇の時代に、源頼朝が鎌倉幕府を開くのを皮切りに、その後は本来臣民にすぎなかった武士が天下を握る「武士の世」が永く訪れるのですから!しかもこの呪われた逆転現象は600年も続きます!
明治天皇が、この呪いの根源である崇徳上皇の御霊を京都へお招きした…というのは、とても大きな意味があったのです。『白峰神宮』へ崇徳上皇の霊が到着したのが明治元(1968)年9月。明治維新が成り、武士の世を終わらせ、近代国家へと足を踏み出すその年に、ここ『白峰神宮』は生まれたのです!
また、明治6年には、崇徳上皇と同じく、天皇の身でありながら島流しにあったという奈良時代の天皇、淳仁天皇(淡路廃帝)も合祀されています。
『白峰神宮』の見どころ
『白峰神宮』は、そんな崇徳上皇の呪いのパワーに満ち溢れるおどろおどろしいスポット…ではもちろんありません。
境内の中央に拝殿が置かれ、その向こう側に本殿が建てられています。拝殿が完全に独立しているのも珍しいパターンですよね。
境内のわきには、歌人としても知られた崇徳上皇の歌碑が置かれています。
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に あはむとぞ思ふ
百人一首にも収録されていますから、この歌をご存知の方も多いでしょう。崇徳院という名で登場していますよね。
また、ここ『白峰神宮』は蹴鞠の神として知られています。それは、元々この土地が、蹴鞠の家元貴族「飛鳥井家」の邸宅跡地だったためです。飛鳥井家でお祀りしていた蹴鞠の神様「精大明神」が祀られています。そのため、「まり(球技)の神様」「サッカーの神様」としても知られているのです!
ちなみに『白峰神宮』の境内にもちゃんと「蹴鞠の庭」が作られています。時々、平安貴族の衣装を着て、蹴鞠の技を披露する場にもなるそうですよ!
なお奉納品の中には、サッカー日本代表メンバーの奉納したボールや、あの「キャプテン翼」の作者・高橋陽一氏のサインボールなども置かれています。ファンは必見ですね!
さて、初詣の参拝行列も少しずつ本殿に近付いてきました。ここ『白峰神宮』の本殿前には、2つの大きな鈴が置かれています。
『白峰神宮』の参拝方法は、この大鈴を持ち上げて、願い事を込めながら大きく音を鳴らしてから二礼二拍手一礼して行います。大鈴は、重いものと軽いものがありますので、どちらか一方を選んでくださいね。
この日は元日でしたが、初詣とはいえそれほど混雑はしていませんでした。ですが、参拝までそこそこ時間がかかったのは…この大鈴のおかげかもしれません(笑)
普段はそこまで混雑する神社ではありませんので、ぜひゆっくりとご参拝なさってください。
『白峰神宮』へのアクセス/駐車場
『白峰神宮』は、京都御所の北西部である「堀川今出川」近くに鎮座しています。大きな通りに面していますので、それほど迷わずにたどり着けるでしょう。
電車の場合は、京都市営地下鉄烏丸線の今出川駅から西方向へ徒歩8分ほどでたどり着きます。
バスの場合は、京都市バスの堀川今出川バス停から歩いて数分です。堀川通を北上するバスは種類も多いので、アクセスはしやすいかと思います。
お車の場合は京都駅から20分ほどです。堀川通を北上し、今出川通との交差点で東へ右折してすぐのところに鳥居が見えてきます。そのままお車のまま鳥居をくぐり、境内に駐車して良いようですが、あまりキャパシティも多くないのでご注意ください。
まとめ
現在では、「サッカーの神様」として、全国のサッカー部をはじめ球技を行う人々の参拝が増えている『白峰神宮』。実はここは、天皇家を呪った日本最大の怨霊・崇徳上皇の魂を鎮めるための鎮魂神社でもあります。ぜひ、上皇の御心にも寄り添って祈りを捧げていただけると…幸いです。
【年末年始京都旅行記】4日目。この日は1月1日元日です。午前中に岡崎神社、平安神宮と周り、お昼前にここ『白峰神宮』へと参拝しました。午後は学問の神様にご挨拶へ参ります。そういえばあちらも…怨霊として恐れられましたね。次回もお楽しみに!
『白峰神宮』の基本情報
アクセス
京都市営地下鉄烏丸線 今出川駅より8分
京都市バス 堀川今出川バス停より徒歩すぐ ※9、12、51、59、201、203系統
京都駅より車で20分
参拝時間
9:00-17:00
定休日
年中無休
参拝料金
無料
駐車場
参拝者用駐車場あり
アドレス
075-441-3810