皆さん「庭園鑑賞」というと、どこを思い浮かべますか?やはり、庭園文化発祥の地とも言える京都や奈良を思い浮かべる方が多いと思います。
あまり意識されないので、ご存じない方も多いのですが、実は…東京都も隠れた名庭園が多いエリアなんです!
しかも、東京の庭園には東京ならではの特色もあります。
京都や奈良の庭園は「寺院庭園」が多いのに対して、東京に多いのは江戸時代に作られた「大名庭園」、そして明治時代以降の「近代庭園」がほとんどです。京都の庭園との違いも、また面白いものですよ!
と、いうことで本日から数回に渡って、そんな東京都内の絶景庭園をご紹介します!題して【都内絶景庭園めぐり】!
こんにちは!旅人サイファです。
普段私は都内で仕事をしながら…週末や長期休暇を使って全国各地に旅行へ出掛けています。
最近、興味を持って回っているのが「庭園めぐり」です。実は数年前に京都に旅行に行った際に、「無鄰菴」「大河内庭園」「瑠璃光院」といった美しい日本庭園に魅了されました。
その時に気が付いたのです。あれ?考えてみれば東京都内の庭園って…ほとんど行ったことないぞ?
そんな折、ふと何日か不意なお休みが頂けたので、春の新緑の時期に合わせて、都内の庭園を数日かけてめぐって参りました。
ちなみに、その際に使用したのはコレ!
赤い車体が可愛い電動シェアバイク「シェアロ」です。
「シェアロ」でのお出かけの様子は以前レポートにあげましたね。
ということで、まずやって来たのはこちら!『旧古河庭園』です!
こちらは、東京都北区。JR上中里駅や東京メトロ南北線の西ヶ原駅から徒歩7.8分ほどのところにあります。
かつてのこの辺りは「滝野川区」という山の手の高級住宅地。あの渋沢栄一も住んでいた飛鳥山からも歩ける範囲です。
入り口で入園料を支払うと…すぐに見えてくるのがこの石造りの洋館!これがまた素晴らしい!まるで絵本に出てくる貴族のお屋敷のよう!この日は時間が早かったので入れませんでしたが、別料金で館内の見学もできます。
ここ『旧古河庭園』は、山の手の地形を活かした、三段構えの面白い作りになっています。
最上段には、芝生広場とお屋敷が。
二段目には、洋風庭園が。
そして三段目には、日本庭園が、それぞれ作られています。
4月に訪れた際は、ご覧の通り花は咲いていませんでしたが…
じゃん!5月に訪れた際はこの通り!洋館前の洋風庭園に色とりどりのバラの花が咲き乱れていました!
バラの花の時期は大人気で、朝からカメラマンや花を愛でる方々で大にぎわいになります。
さて、そんな洋風庭園から一段下がると…雰囲気は一変します。地面には苔がむし、まるで深山幽谷に迷い混んだかの雰囲気!
いかがですか!この見事なシンメトリー!天気が良いとご覧の通り、池に周囲の木々や空が写りこみ、まさに鏡のような絶景が現れます。
こちらは「池泉回遊式庭園」となっていて、ゲストは自らの足で池の周りを歩き回り、様々な角度からその風景を楽しむ形の庭園になっています。
この『旧古河庭園』の日本庭園部分を手掛けたのは、明治・大正の名作庭家「七代目小川治兵衛」です。京都にある「無鄰菴」をはじめ数々の傑作庭園を世に送り出した人物です。
彼は、明治の元勲「山縣有朋」にその作庭の腕を見込まれ、別邸である、京都の「無鄰菴」や東京の「椿山荘」など、数々の名庭園を作りました。
私が庭園を楽しむ際に最重視するポイントは…「没入感」です。一歩庭園内に足を踏み入れたら…それまでの俗世間を忘れ、まるで異世界に迷いこんだかのような錯覚に陥る…!
素晴らしい庭園に立ち入ると、ゲストはその視界や視野すらも作庭家に操られます。そんな幾多のトリックが、ここ『旧古河庭園』にも散りばめられているんです。
例えば、この『旧古河庭園』の景色。東京のど真ん中にいるということを忘れさせませんか?すぐ隣には「本郷通り」という4車線道路が走っていまし、さらに周囲はビルやマンションが立ち並んでいる…はずなのに!
ですが?この場所に立つと、ビルやマンションのような無粋な近代建築は視界に入りません。ゲストの立ち位置の高さや深さ、そして周囲の木立によって絶妙に視野をコントロールすることで…ご覧のように「都会」を感じさせない見事な工夫がなされているのです!
ただ…残念ながら、流れ行く都市化に従って、ここ『旧古河庭園』周囲も、すぐお隣まで高層マンションが建つようになってしまいました。
現在は『旧古河庭園』の日本庭園でも、見る角度によっては背景にマンションが写り込むようになっています。仕方のないこととは言え…やはり興醒めするのはやむを得ないですかね。
ただ、ここ『旧古河庭園』は、台地の斜面を巧みに活かした庭作りがされています。斜面を背にした風景は、現在でも一級品!かつての財界人達が愛した風景を、そのまま愛でることができます。
『旧古河庭園』は、大正8年に古河財閥の古河虎之助男爵の邸宅として整えられました。
元々は、明治時代に外務大臣等を歴任した政治家・陸奥宗光が別宅として購入した土地でしたが、彼の次男が古河家に養子に入った関係で、古河家に所有権が移ったという経緯があります。
洋館と洋風庭園は、イギリスの建築家ジョサイア・コンドルによる設計で、大正6年に竣工。日本庭園は先に述べた小川治兵衛によって大正8年に竣工しています。
純洋風と純和風、その二つを融合した庭園の傑作とも言える『旧古河庭園』。特に大輪のバラで埋め尽くされる春と秋は必見です。
しかし、この庭園の魅力はなんと言っても洋風庭園と日本庭園の劇的な場面転換にあります。普段はそこまで混雑することはありません。ぜひ、人の少ない時間帯に訪れて、知らず知らずのうちに迷い込む世界観に酔いしれください。
気付いたらいつの間にか…あなたは深山幽谷の世界にいますよ?恐らく…東京のど真ん中にいることすら忘れるはずです。
アクセス
営業時間
9:00-17:00
定休日
年末年始(12/29-1/1)
その他不定休
入場料金
一般 150円
65才以上 70円
小学生以下および都内在住の中学生は無料
※六義園とのセット券あり
駐車場
なし 周辺コインパーキング利用
アドレス
東京都北区西ヶ原1-27-39
03-3910-0394
次回です!