本日放送のNHK大河ドラマ『青天を衝け』ざっくりコラムです。
一年間続いたNHK大河ドラマ『青天を衝け』もいよいよ最終回。
渋沢栄一という地味ながら日本産業界を作り上げた人物を主役に据えた意欲作でしたね。
さて、時代は大正時代。日清日露の戦争と第一次世界大戦を経て、日本は表向きは一流国の仲間入りを果たしました。
しかし、欧米列強の心の内は、アジアの片隅にある有色人種を蔑む意識から脱却できていませんでした。特にアメリカは、太平洋を挟んで直接相対しているがために、強大になる日本の海軍力を警戒する気分が日に日に高まっていました。
こんな情勢の中で開かれた「ワシントン軍縮会議」。アメリカとイギリスは日本の海軍力を縮小させることに成功します。
わざわざ渡米した栄一は、この会議で軍縮を飲む引き換えに、アメリカで高まる日本人移民への迫害と反日意識の撤廃を求めようとしましたが、結局移民問題は議題にものぼらず、アメリカの対日感情が変わることは成りませんでした。
関東大震災の被災、そして昭和初期の動乱の予感。
戦前、未曾有の水害にあった中国への義援金寄付を呼び掛けた渋沢栄一。
「手を取り合いましょう。皆が嬉しいのが一番なんだで。」
自分たちだけで富を独占すべからず。皆で共済共存することこそ、栄一の生き方そのものでした。
日本が絶望への道へ突き進むこととなるきっかけ、満州事変(柳条湖事件)が起こされた9月18日から、わずか2か月後のことでした。
渋沢栄一の死と共に…栄一が最も避けたかった、国を滅ぼす戦争の時代へと突き進んで行くのです。
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