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神社は無料なのに寺院は有料?『開かれた神社』と『閉じられた寺院』

こんにちは!旅人サイファです。

先日…京都にひとり旅に行って来ました。世界遺産をはじめ、数々の寺社仏閣を参拝して来ましたが…面白いことに気が付きました。

 

前々思っていたことではありますが…今回京都で特に感じたことがあります。

それは『神社は万人に開かれている』のに対し『寺院は閉ざされている』印象が強いということ。f:id:traveler-cipher:20211218103216j:image

京都 上賀茂神社

鳥居・境内は常に開かれている


f:id:traveler-cipher:20211218103149j:image

同じく京都 天龍寺

拝観客用の一部の通用門以外は閉ざされたまま

 

これは世界遺産古都京都の文化財」として構成されている17のリストを見てみると、さらに面白いことが分かります。

  1. 賀茂別雷神社(上賀茂神社)★
  2. 賀茂御祖神社(下鴨神社)★
  3. 教王護国寺(東寺)
  4. 清水寺
  5. 延暦寺
  6. 醍醐寺
  7. 仁和寺
  8. 平等院
  9. 宇治上神社
  10. 高山寺
  11. 西芳寺(苔寺)
  12. 天龍寺
  13. 鹿苑寺
  14. 慈照寺
  15. 龍安寺
  16. 本願寺(西本願寺)
  17. 二条城☆

これら世界遺産に登録されている17の文化財のうち、★3つは神社、☆ひとつは城郭ですが、それ以外の13は全て仏教寺院です。

 

それでは、このリストをもう一度見てみましょう。

  1. 賀茂別雷神社(上賀茂神社) ★無料
  2. 賀茂御祖神社(下鴨神社) ★無料
  3. 教王護国寺(東寺) 500円
  4. 清水寺 400円
  5. 延暦寺 700円
  6. 醍醐寺 800円
  7. 仁和寺 500円
  8. 平等院 600円
  9. 宇治上神社 ★無料
  10. 高山寺 800円
  11. 西芳寺(苔寺) 3000円
  12. 天龍寺 800円
  13. 鹿苑寺 400円
  14. 慈照寺 500円
  15. 龍安寺 500円
  16. 本願寺(西本願寺) 無料
  17. 二条城 ☆600円

併記したのは拝観料です。こうしてみると、よく分かりますね。

★神社の3箇所は全て参拝無料なのに対して、13ある寺院はひとつ(西本願寺)を除いて全て有料なんです!

 

これは、京都に限らず全国的に共通しています。

全国の神社で参拝料を徴収するのは…私の知る限り日光と久能山東照宮厳島神社日吉大社くらいのもの。それ以外は、伊勢神宮出雲大社をはじめとして、9割以上が参拝無料です。

 

一方の仏教寺院は、観光地にある有名寺院のほとんどが有料です。その他の一般寺院は無料なことが多いですが、一般寺院はそもそも物見湯山の観光客の参拝をお断りしているところも多いです。

この神社と寺院の差、面白い違いですよね。

 

私は、神社と寺院の性格的な違いもあると思っています。

それは、神社は「公的」側面の強い空間、寺院は「私的」側面の強い空間という点。言い換えると、神社は「公民館」、寺院は「私企業」に近いものとも考えられるのではないでしょうか。

 

そもそも神社は、その地域に住む人々の公益のために存在する公共施設でした。

古くは地域一体となり農業を営む上での儀式を執り行う存在。例え他の宗教を信奉している方でも、その出入りを制限するものではありません。このあたりが、公共性の高さを現しているとも言えるでしょう。

そのため、神社の境内は24時間立ち入り自由&参拝料も無料なところがほとんどです。

※神社でも庭園や宝物館といった施設へは別に拝観料を徴収するところが多い

 

一方、寺院には細かい宗派があり、その檀家や信者以外は出入りが禁じられているところも多いのです。それは、神社(神道)以外の宗教施設は、そもそもがその宗教を信じる者のための施設であって、万人に開かれている場所ではない…ということ。

 

先ほどの京都の例でいえば…拝観料を取る施設は、「宗教施設」ではなく「観光施設」として考えた方がしっくり来るかもしれません。

貴重な建築物、美しい美術品や仏像、手入れの行き届いた庭園。これらを維持管理するためには、どうしても拝観料が必要なのでしょう。

 

本来、信者のための「宗教施設」であったはずの寺院。それが時代の移り変わりと共に、宗教的側面は薄れ、「観光施設」的側面が強まっていった…。

寺院も採算を取れなければなりません。申し込めば可能なのかもしれませんが、金閣寺清水寺でお葬式を執り行う風景は見たことがありません。

「宗教行為」で満足な収益を上げられないのであれば、自らの持つ財産(貴重な文化財など)で拝観料を取らない限り、せっかくの文化財も朽ちて行くだけです。

 

この、「参拝」と「拝観」という言葉の違いもミソですよね。参拝はあくまでも拝み祈ること。拝観は拝み鑑賞すること。神社でも宝物館などは拝観料が必要なところが多いのも、この参拝と拝観の違いが現れているとも言えそうです。

こう考えてみると…「神社が開かれている」のは、参拝無料だから。「寺院が閉ざされている」のは有料だから。という側面も無視できない要素ですね。

 

寺院は、信者になるか拝観料を納めた人以外立ち入ることができない空間。

神社は誰しもが立ち入ることができる空間。

 

日本における二大宗教施設である「神社」と「寺院」。その違いを性格的な面から考察してみました。