NHK大河ドラマ『光る君へ』コラム
こんばんは!旅行ブロガーにして、歴史地理コラムニストの旅人サイファです。毎週日曜日夜は、NHK大河ドラマ『光る君へ』コラムをお届けします。
筆者紹介
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第19話 放たれた矢
今回は…タイトルからも分かりましたよね。
藤原道長の甥で、政権争いのライバルでもある藤原伊周。彼の失脚が…はじまりました。
藤原道隆の死後、後任の関白は、道隆の弟・道兼と、道隆の嫡男・伊周の間で争われました。
この時は、年長者でもあり位も高かった道兼に関白の任が下されます。
この決定に、伊周は不満でした。当然、父のあとは自分が継ぐものだと思っていたのでしょう。傲慢なところは父の道隆そっくりでした。
しかし、関白に任じられた道兼は、叙任後わずか7日間で死にます。流行りの疫病に罹患したものと伝わっています。
問題はこのあと。
道兼の急死は、またしても後任の関白位争いを招きます。
今回は当然、自分こそ関白に任じられると思い込んでいた伊周でしたが…いざ蓋を開けてみれば自分の官位は内大臣のまま。道兼の弟であり、自らの叔父である道長が自分を飛び越えて右大臣に任じられてしまいます。
この時、関白や左大臣は不在。つまり
朝廷のトップは右大臣・藤原道長の元へと転がり込んだのです。
またしても煮え湯を飲まされた伊周は大荒れに荒れ…やがて腐ります。そして参内すらもボイコットして、女通いの日々を送るようになるのです。
この時、伊周の想い人(通い妻)のひとりに藤原斉信の妹がいました。伊周は斉信妹(三の姫)と通っていましたが、ある時、その娘の屋敷に行くと、何やら高貴な車が止まっているではないか。
伊周は自分の愛する姫が、奪われたとして、逆怨み。弟の隆家らとその車の主や従者に矢を射かけるのです。
しかし…これは誤解でした。
この時、矢を射かけられたのは…なんと先の帝である花山上皇!しかも花山院が通っていたのは、斉信のもうひとりの妹(四の姫)!伊周の想い人の妹だったのです。
当初、矢を射かけられた花山院も罰が悪かったのか口をつぐんだために公にはされませんでした。
しかし、人の口に戸は立てられるもの。
あっという間に噂は広がり、伊周、隆家の兄弟は上皇に向かって矢を射かけた重罪人とされてしまうのです。
この事件は、やがて大きなうねりをらもたらします。詳しくは次回描かれることになるでしょうが…伊周、隆家だけでなく、あの姫の身にも責任が及ぶことになるのです。
この伊周らの失脚事件は、後に「長徳の変」と呼ばれます。藤原道長と藤和伊周。叔父と甥の激しい権力争いは…この事件をきっかけに大きく変わることとなるのです。