こんにちは!旅人サイファです。
今回も【京都&北近畿旅行記】の二日目。嵯峨嵐山散策が続きです。
前回記事にしました「常寂光寺」から「御髪神社」を経て『大河内山荘( おおこうちさんそう)』へお邪魔しました。
ここは、戦前の映画俳優「大河内傳次郎(- でんじろう)」が私財で作り上げた庭園芸術の傑作です。
日活映画で「丹下左膳」を演じた人物…といえばお分かりの方もいるかもしれません。
そしてさすがの映画スター!やることがすごい!
嵐山の奥、小倉山の南東一画(2万平米!)を自ら買い付け、彼が34歳の頃から64歳で亡くなるまで、出演料の大半を注ぎ込み作り上げたものとか。
『大河内山荘』の魅力は、この起伏ある自然の小山を丸々使った、驚くべきトリックの数々にあります。
はじめに断言します。
ここ『大河内山荘』の中に入ると…人は操られます。視線も、足取りも。
庭園に一歩足を踏み入れると…まず、自分がどこに居るのか分からなくなります。
そして、まるで誰かに手を引かれているかのように、自然と奥へ奥へと足が進みます。
やがて、園内の小径を右へ左へ進むうちに、方向感覚を失います。
自分がどちらの方角を向いているのかも分からなくなります。
知らず知らずのうちに南を向かされていること、そして東を向かされていることに気付き愕然とします。
そして歩みを進める度に、各所各所で全く趣の異なる世界へ突然導かれます。
そして園内の小径を右へ左へ登って降りてしているうちに…気が付いたら元の出入り口に立っている…。
そんな、まるで狐につままれたかのような、奇想天外な体験をすることができるのです。
まずは大河内山荘の入口から。有名な竹林の小径の最奥地に大河内山荘の入口はあります。
一本道を進むと…玉砂利の広々とした空間に出ます。
ここはまだ、迷宮の手前ですよー(笑)
奥まで進むと、茶屋があります。
ここ『大河内山荘』のチケットにはお抹茶&お菓子も付いてますのでまずはこちらでご一服を。(もちろん散策後でも構いません)
茶屋の建物内も雰囲気良い!
竹林を眺めながらのお抹茶なんて、贅沢な一時を味わえるだけでも価値があります。
さあ、お茶を頂いたら…いよいよここから『大河内山荘』の大庭園の散策スタートです。
この門から先…大河内傳次郎の作った迷宮に迷い込みます。
門を抜けて少しばかり山を登ると、また広い空間に出ます。ここは「大乗閣(だいじょうかく)」。
大河内傳次郎が晩年を過ごした庵です。後方の嵐山を借景とした庭園が見事!
さて、この山荘の裏手の散策ルートへ足を踏み入れると…その風景は一変します。
人ひとりが通れるくらいの細い小径。人の背丈より高い生け垣に囲まれ視界は極端に狭くなります。
歩を進めないとその先が見通せないため…細い小径を見失わないように足元を見ながら慎重に先に進めます。
小径は右へ左へ…くねくねと細かく曲がりながら奥へ奥へと続いています。
頭上まで覆う木々のために周囲は暗く少し不気味な雰囲気…。この小径を右に曲がると…
ぱぁぁぁっ!!
突如として視界が開けます!そこに現れたのは「白砂青松の世界」!
中央には御堂が建てられ、まるで極楽浄土をイメージしたかのよう…。
この劇的な展開は、映画の魅せ方にも通ずるところがありますね。
さて、御堂エリアを過ぎると、我々はその裏手の小径へ誘われるように…。
この小径は、また木々が増えて来ます。足元は飛び石。
踏み間違えないように、自然と視線は足元へ。一歩ずつ慎重に歩を進めると…
ぱ!っとまた次の世界へ飛び込みます。
ここは先程の白砂の世界とは異なる、「静かな苔の世界」。しっとりとした色気のある庭園が広がります。
奥には茶屋が見えますね。この茶屋は「滴水庵(てきすいあん)」と名付けられています。
茶屋を抜けると…そのまた奥手に山を登る坂道が続いています。
この時点で我々はすでに方向感覚を失っています。
右へ左へ…細かくカーブする緑に覆われた坂道を上り詰めると、一瞬視界が開ける…!
ここはどこだ?
あ!保津川…!嵐山だ!
知らない間に、我々は嵐山の中心、渡月橋へと至る保津川を見下ろす西斜面に立たされていることに気が付き…愕然とします。
いつの間に西斜面まで導かれたのか…迷宮に入り込んだ人間には皆目見当もつきません…。
さらに続く山道を登ると…ようやく頭上の木々が払われ、天が姿を現します。
ここは『大河内山荘』の最高所、「月香(げっか)」と名付けられた展望台です。
方向感覚は狂わされたまま…。先程まで嵐山保津川を見下ろしていたはずなのに、今は気付いたら東面を向いて、遥か京都市中を望んでいます。
ここでようやく…自分がどこにいるのかを認識するのです。
月香の展望台からは、一本道の下山路を進みます。す
ると…気が付かぬ間に元のスタート地点中門外まで戻って来ています。
実はこの散策路、たった一度だけ登山路と下山路がクロスする箇所があります。
これがこの十字路地点の写真ですが…行きに通りかかった時は、道がクロスすることなど気にも留めません。
自分の進む方向の奥に細い道が伸びているため、その方向以外は目も振らず、自然とまっすぐしか視界に入らないように視線と行動を操られてしまうのです…!
※参考境内図
この訪れる人の視線と行動をコントロールする驚きの手法、私はあるテーマパークにも同じような手法が用いられているように感じています。
それは東京ディズニーランドと東京ディズニーシー。
趣の異なるエリアとエリアを結ぶ通路は狭く曲がりくね視界は遮られています。そして曲がり角を曲がると…一気に違う世界が広がる!
この、視線と足取りをコントロールするディズニーランドの手法、どこか日本庭園にも通じる部分があるとは思いませんか?もしかしたらディズニーランドの設計者も、日本庭園に隠されたこういった手法を学び取り入れたのかもしれませんね。
この辺り、また別の記事で考察しました!できたらと思います。
いつの間にかその世界観へ迷い込む『大河内山荘』の超絶トリック。
ぜひ、一度体験してみてください。驚かされますよ!京都嵐山観光のおすすめスポットです!
アクセス
嵐電 嵐山駅より徒歩15分
拝観時間
9:00-17:00
拝観料
大人 1000円
小中学生 500円
※抹茶菓子付き
アドレス
075-872-2233
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