三井寺境内社『新羅善神堂』は国宝の神社建築物!
《日本を代表する寺院「三井寺」の境内に知られざる国宝神社があるのをご存じでしたか?》
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こちらの記事は【初夏の京都滋賀旅行記】よりシリーズでお届けしております。
『新羅善神堂』の歴史
日本全国に36ヶ所しかない国宝の神社。そのひとつが、滋賀県大津市の「三井寺園城寺」の飛び地境内にある『新羅善神堂』です。
元々ここ三井寺の鎮守社で、当時は神仏混淆のため神社と寺院はほぼ同一のものとして祀られていた名残です。
数少ない国宝の神社建築で、現在の社殿は1347年に足利尊氏によって建立されたもの。
ここ『新羅善神堂』は、源氏一族ゆかりの地としても知られています。
源頼朝の先祖である源頼義は、自らの子供たちを著名な神社前で元服させています。
長男・義家は「石清水八幡宮」で。
次男・義綱を「賀茂神社」で。
三男・義光はここ「新羅善神堂」の前で。
…それぞれ元服式を執り行いました。
そのためこの三兄弟は…
と、それぞれ名乗りをあげています。
ちなみに、ここ『新羅善神堂』で元服した新羅三郎義光の子孫からは、武田信玄や佐竹義重などが出ています。足利尊氏がこの社殿を建立したのも…同じ源氏一門という縁故でしょうか。
ここ『新羅善神堂』内部には、新羅明神像が安置されていますが、秘仏のため公開はされていません。
この新羅明神像は、三井寺中興の祖である「智証大師・円珍」が、唐での留学からの帰国する船で突如現れたものとされています。
一説には、朝鮮半島(旧新羅国)からの渡来神ともされていますが…これには少し謎が残ります。
そもそも、ここ大津の地を開いたのは、天智天皇です。
天智天皇は、朝鮮半島にあった友好国・百済国の求めに応じて日本から大軍を出し、唐・新羅連合軍と白村江で戦った際の日本側の中心人物です。
この白村江の戦いは…日本百済連合軍の大敗。この戦いに破れたことで、天智天皇は唐・新羅からの反撃を恐れて、それまで大阪に近かった飛鳥から防御のためにここ大津へと遷都を行いました。
つまり…ここ大津の地は「新羅を恐れて作られた都」ともいえるのです。
そんな大津の地にあるのが…なぜか「新羅善神堂」。天智天皇が聞いたら、お墓から飛び出すくらいびっくりするのではないでしょうかね?そもそも、わざわざ『善神堂』と名付けるのも不思議ですよね。
『新羅善神堂』の見どころ
『新羅善神堂』は、三井寺の北院に位置しています。三井寺は日本仏教界でも5本の指に入る大寺。さぞ賑やかな場所だろう…と足を運んでみると。
え。ウソでしょ。
周辺には誰もいません。朽ちかけた石垣と白壁。そしてびっしりと落ち葉に覆われた広場があるだけです。
ここ三井寺の北院は、金堂などがある中院から北へ100mほど離れた飛び地境内。まわりには…大津市役所や滋賀県警察学校、大津商業高校などにぐるりと囲まれた森にひっそりと佇んでいるんです。一言でいうと…「極めて寂しい場所」。
広場は三井寺職員用の駐車場になっているようで、その奥に1ヶ所だけ門が開け放たれています。
門をくぐると…周囲を板塀で囲まれたお社が見えてきます。これこそが…国宝『新羅善神堂』!
貴重な国宝建築ですが…周囲には参拝者はおろか管理する人すらいません。えっと…安全面とか大丈夫?
社殿の前には一対の灯籠。そして一段上がると社殿です。庭木などはお手入れがなされているようですが…あまりにも寂しい。
段上にて参拝します。隙間から国宝の社殿が見えますね。
あれ?ここは…三井寺の境内だよな?参拝は…神社式から仏式か?
社殿の真向かいには鳥居もありましたので…扱いとしては神社なのでしょう。二礼二拍手一礼と…神社式で参拝させていただきました。
少し角度を変えたところから見ると…三間社流れ造りといわれる美しい社殿を見学することができました。ゆるやかにうねる屋根のカーブが美しいですね。
全国にわずか36ヶ所しか指定されていない国宝の神社建築物のひとつ『新羅善神堂』。内部にはこれまた国宝の「新羅明神像」が祀られているといいますが…その周囲はあまりにも寂しい限り。
まるでなにかを封印しているかのような…敢えて人里離れた場所で隔離しているかのような…少し恐怖を感じるような空気か流れる場所でした。
『新羅善神堂』へのアクセス/駐車場
『新羅善神堂』は、三井寺園城寺の飛び地境内にあるお社です。場所としては、大津市役所のちょうど真裏に当たります。
公共交通機関ご利用の場合は、京阪電車の大津市役所前駅が最寄です。駅からは市役所を回り込むように徒歩5分ほどでアクセスできます。
お車の場合は、京都東ICから10分ほど。かなり細い道を進みますが、行き止まりに開けた場所があり、そちらに車を駐車できます。
【初夏の京都滋賀旅行記】2日目。ずっと訪れたかった国宝神社の参拝を終えて、この後は京都市内へと戻りました。次回は京都の人気ラーメン店をレポートします。お楽しみに!
『新羅善神堂』の基本情報
アクセス
名神高速道路 京都東ICより10分
営業時間
24時間自由
定休日
年中無休
入場料金
参拝無料
駐車場
無料駐車場あり
アドレス
077-522-2238