高速道路が乗り降り自由になれば…地方観光の救世主になるかも!?
全国に広がる高速道路網。物流経済的にも大変便利なものですが…こと観光業界に限ると危険も孕んでいるんです。
筆者紹介
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高速道路とストロー効果
日本全国各地に広がる高速道路網。今や、日本の交/物流には欠かせないインフラのひとつになっていますよね。
地方と地方を繋ぐ高速道路。高速で移動できるメリットは、様々な面で我々に恩恵をもたらしてくれますよね。
例えば、これまで3時間以上かかっていた都市間を1時間で移動できるようになったら…2時間も時間を有効に使えるようになります。
あったら大変便利な高速道路。しかし…高速道路には負の側面もあります。
そのひとつが「ストロー効果」と呼ばれるもの。
ストロー効果とは
「ストロー効果」とは、コップの水がストローによって吸い上げられることに例えて、便利な交通体系(ストロー)が整備されると、それにより活性化を期待していた地方圏から大都市圏へと経済活動が流出し、地方圏が逆に衰退してしまうことを表した言葉です。
出発地から目的地まで高速道路で早く楽に移動できるのは大変なメリットですが…それまで一般道沿いで営業していた観光地や飲食店などは、高速道路ができたことで素通りされてしまい、衰退してしまう…というケースがストロー効果です。
そりゃそうですよね。
筆者も旅行に行く際は車で観光地を回ることが多いですが、今いるスポット(A地点)と次の目的地スポット(B地点)が離れている場合は、高速道路を使ってワープしてしまうことが多いです。
その際、それぞれの中間(X地点)に、観光スポットや飲食店があったとしても…それを知らなければ、完全に素通りしてしまいます。
一般道の場合は別です。
ロードサイドに気になるスポットや飲食店を見つけたら…
(ちょっと立ち寄ってみようか?)
と車を止めて気軽に立ち寄ることができますからね。
高速道路は偶然の出会いに弱い!
実際、先日行ってきた四国旅行でのことです。
香川県の一般道を走らせていた際に、不思議な光景に出会いました。
ここは香川県三豊市にある「津島神社」という神社で、沖合いにある孤島まで一本の橋だげ繋がっているんです。
なにも知らずに一般道を走らせていた筆者は、遠くからこのお社をみつけ…
(え!なにあれ!あんなところに神社がある!行ってみよ!)
…と立ち寄った時のものがこの写真です。
これも一般道を走っていたからこそできた寄り道!予期せぬ素晴らしい出会いでした。
しかし…この時走っていたのが高速道路だった場合はどうでしょうか?
高速道路を走らせていて、遠くに魅力的な風景が見えてきたとしても…わざわざ次のICで高速道路を降りてまで見に行きますか?
残念ながら…そんなケースはレアでしょう。
ほとんどが…
(なんだろ?何かあるね?)
でスルーしてしまうことがほとんどのはずです。わざわざ課金している高速道路を降りてまで…人は寄り道しようとしないものなんです。
つまり言い換えると「高速道路は予期せぬ出会いに弱い」ということ。
旅の醍醐味は人それぞれでしょうが…「偶然出くわした予期せぬ出会い」もまた、旅を楽しくさせるスパイスのひとつでしょう。
ふらっと歩いていたら素敵な風景に出会った
突然目に飛び込んできたお店の料理がめっちゃ美味しかった
高速道路を走ってしまうと、こういう出会いにめっぽう弱くなります。
高速道路は大変便利なものです。なにせ信号もないですから、目的地までの所要時間を短縮させて、より時間を有効に使うことができますからね。
しかし…便利すぎるがゆえに、観光客が高速道路メインで動くようになってしまうと、まさにストロー効果。道すがらの観光スポットや飲食店にはほとんど人が立ち寄らなくなってしまう危険を孕んでいるんです。
ですが?
近年登場した新技術は、そんな高速道路がもたらす負の側面を補うことができるかもしれません。
それが…ETC2.0です。
ETC2.0が地域経済のカギを握るかも?
ETC2.0とは?
従来型のETCは、それまで人の手を介していた通行券や料金授受の手間を省くことで、渋滞緩和や排出ガス削減に貢献してきた、非常に画期的かつ優秀なシステムです。しかしそれが有用なのは、あくまで料金所を通過するタイミングだけでした。
しかし、ETC2.0は料金収受(情報授受)システムであるETC を常に有用な状態にするため、高速道路等の走行中、ずっと情報を受け渡し可能な情報サービスの基盤となる機能が追加されました。
たとえるなら、従来型ETCはテーマパークへお得に入場できる入場パスのようなもの。ETC2.0は、入場割引はもちろん、園内の施設利用も割引され再入場も許可されているフリーパスと考えれば、両者の違いが良くわかるのではないでしょうか。
つまりETC2.0とは、進化したETCシステムのこと。
あまり広がっていませんが、この進化したETC2.0には、大変便利な機能が付いているんです。
それが「一時退出/再進入」機能。、
たとえば、高速道路をいったん降りて近くの道の駅に立ち寄ると…
通常のETC技術では、高速道路を降りた時点でいったん料金計算されてしまいます。そしてまた高速道路に戻った時には、再度初乗り料金がかかるため、結果として高速道路料金は割り増しになってしまうのです。
しかし!ETC2.0利用者限定で、特定の道の駅を利用した場合は例外!
本来、一時退出して最進入した最に加算される「初乗り加算」が計算されずに、そのまま高速道路を走り続けたのと同じ料金になる…という大変便利な特例があるんです!
現在は、サービスエリアの乏しい区間で、その代替として沿線近くの道の駅(全国17箇所)に立ち寄った場合のみ適用される「一時退出/再進入」の特例ですが…これを拡大させることができれば、地方経済にかなりの効果を出せると思うんですよね。
例えば、いったん高速道路を降りて、近くの観光スポットに立ち寄る。そして食事をとって、また高速道路へ戻ってくる。
現在のシステムですと、「初乗り料金」が加算されるため、高速道路料金は割り増しになってしまいます。
しかし!現在特定の道の駅にのみ設定されている特例措置を、もっと多くのスポットに拡大すれば…!もっと気軽に高速道路を乗り降りするようになり、地方の消費拡大にも繋がると思うのです!
紀伊半島の例
例えば…先日旅行に行ってきた紀伊半島(三重県~和歌山県)も、現在、高速道路の建設が進められており、あと数年でめでたく全線開通となる見込みです。
ですが?そうなった場合…周辺観光地はその恩恵を受けるでしょうか?
現在は国道42号線沿いに大きな駐車場があるため、多くの観光客が気軽に立ち寄れる人気スポットになっています。
しかし…高速道路が開通してしまうとどうでしょうか?わざわざ高速道路を下りてまで立ち寄るでしょうか?
名所に人が訪れなくなると、周辺の飲食店や土産物店にも人は流れなくなります。
つまり、これからの紀伊半島の観光スポットの存続は「わざわざ高速道路を降りてまで立ち寄ってもらえるか?」という点に大きく左右されることになるのです。
これは、紀伊半島に限らず全国的にもいえること。
観光は、地方経済の要です。
全国的に有名な観光地は今後も安泰でしょう。そのようなスポットへは、観光客もわざわざ高速道路を降りて立ち寄ってくれます。
しかし…あまり知名度が高くないスポットや、これから新たに発信させていきたいスポットはどうでしょうか。
その場所にそんなスポットがあることを知らない人は…わざわざ高速道路を降りて立ち寄ることはありません。「気になったからふらっと立ち寄ってみた」というケースがほとんどなくなってしまうと予想されるのです。
例えば時間制で乗り降り自由にすれば?
高速道路の利便性と、地方経済の共存。
そのためには、高速道路の料金システムを再構築する必要があると考えます。
例えば…高速道路を時間料金制とすればいかがでしょうか?
はじめに入った高速道路ICから、最後に出た高速道路ICまでの間は乗り降りフリーにして、再課金しないようなシステムです。設定は12時間でも24時間でも良いと思います。
たとえば…
8:00に東名高速道路の東京ICから高速道路に入り
19:59に東名高速道路の名古屋ICで高速道路を下りる
その間は、どこで退出してもどこから再進入しても乗り降りフリーとすれば…!
ユーザーは…御殿場のアウトレットモールにも立ち寄れるし!清水でお寿司も食べられるし!浜松でかんざんじ温泉にも入浴できるし!岡崎城にも立ち寄れる!
どれだけ高速道路を乗り降りしても…料金は東京IC→名古屋IC間の分のみで一定額!
もしこのような制度があれば、旅行者にとっても夢のようじゃないですか?高速道路の利便性は爆上がりすると思いませんか?
旅行者は、気ままに高速道路に乗ったり下りたりしながら観光しつつ目的地に向かうことができます。
しかも状況によっては…例えば事故や交通集中で道路が渋滞している場合でも、臨機応変に高速道路と一般道を使い分けることさえも可能になります。
現在、ETC2.0特例として活用されている「一時退出/再進入」の技術を活用すれば…そんなに難しいことではないはずです。
国土交通省やNEXCO各社は高速道路料金の売上げが減ってしまうのであまり良い顔をしないでしょうが…ぜひ地方経済との共存を考えてほしいものです。
災害時のサブルートとという意味でも、高速道路網が広がるのはとても良いことです。しかし…高速道路ができたことで、逆に地方の衰退を招くような事態は断じて避けるべきでしょう。
高速道路の乗り降り自由化は、地方地方に人な立ち寄りやすくなるようなシステムとして、有効に機能するものと考えます。
ぜひ!新たなシステムとして採用してほしいもです。