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【地理コラム】どうして坂道ばかり?港町に坂の町が多いのはなぜ?

日本三大中華街は全て「坂道の町」なのはなぜ?

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横浜、神戸、長崎。日本三大中華街のある町はなぜか坂道ばかり!実はこれ、町の成り立ちに密接な関連があるのです。

 

筆者紹介

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こちらは【地理コラム】からの記事をお届けしています。

 

 

日本三大中華街ってどこ?

日本には国内でありながら異国情緒を感じさせる都市がいくつかありますよね。その最大のものが「中華街」です。


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日本三大中華街

この横浜、神戸、長崎の中華街は規模も大きく、日本三大中華街として知られ、いつ訪れても、多くの観光客で賑わいを見せています。

 

この横浜、神戸、長崎…中華街だけでなく、どこか共通するイメージがありますよね。

 

それは「港町」であることと、そして「坂の町」であること。

 

「中華街」

「港町」

「坂の町」

 

実はこの3つは、大いに関連があるのです。決して偶然にこの3つの要素が揃った訳ではないのです。

 

「良港」の条件は陸地からすぐ海が深くなること!

幕末から明治時代に作られた近代港湾は、全て天然の地形をうまく活用して作られました。優れた港湾の最大の要因が「海の深さ」です。しかも、海岸線から一気に急激に深くなる必要があるのです。

 

海外と行き来するような大型船は、水面下(吃水線)がそれだけ深く、どうしても港には深さが必要です。

 

陸で生きている我々は、海面下のことはほとんど意識しません。ですので、海底の地形がどうなっているかなど、想像すらしないことがほとんどです。それこそ海に潜らないと、海面下がどうなっているか分からないというのが普通ですよね。

 

海の深さは陸上の地形から想像できる?

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しかし、実はもっと容易に、海面下の様子を予測する方法があるんです。

 

それは、海に落ち込む海岸線の傾斜です。

 

筆者がこれを強く感じたのは、長崎県対馬での体験からでした。

 

対馬は、九州と朝鮮半島の間に浮かぶ離島ですが、その海岸線は非常に荒く、砂浜やビーチなどは数えるほどしかありません。

 

数年前に対馬を訪れた際、シーカヤックを楽しみましたが…これはその時の写真です。

 

この写真を見ても分かる通り…対馬の海岸沿いの陸地はほぼ垂直に近い崖地です。その崖地がそのまま海の中に没入しているのが分かるかと思います。

 

海の上に見えている部分がほぼ垂直ということは…海面下も同じような角度で深く切れ落ちているということ!

 

例えば陸地部分が5°くらいの傾斜地であれば、海底に沈んでいる部分もほぼ5°に近いということですから、海は遠浅であることが想像できます。反対に陸地部分が80°もの崖地であれば、海に沈んでいる部分もほぼ同じ80°の角度で落ち込んでいるということ!それだけ急激に深くなるということが分かるのです。

 

この「急激に深くなる」ことが、近代港湾にとって、とても重要な要因なのです!何せ、遠浅な海では、大型船は海底に引っ掛かって接岸できませんから!

 

日本三大中華街を有する「横浜」「神戸」「長崎」は、みな似たような地形を持っています。

  • 横浜→背後に山手の高台
  • 神戸→背後に六甲山
  • 長崎→背後に大浦の高台や稲佐山

それぞれ、海のすぐ背後に高台や山が迫り、目の前の海へと急激に落ち込む地形があるのがよく分かるかと思います。「港町」=「坂の町」は、偶然ではなく必然的だというのもよく分かりますよね。

 

ちなみに…なぜ、この3つの町に中華街が形成されたか、お分かりになりますか?これら3つの町をもう一度よく見て見ましょう。

横浜→背後に山手の高台(外国人居留地)

神戸→背後に六甲山(北野異人館街)

長崎→背後に大浦の高台(グラバー園)

…お気付きになりましたか?

 

日本三大中華街のある、横浜、神戸、長崎には、海岸線から急激に登る高台があり、そしてそれら高台には、欧米列強の外国人居留地が作られているんです!

 

高台に外国人居留地、そしてその麓に中華街。実はこれ、密接な関係があります。

 

当時、港の背後に位置する高台には、欧米諸国の外交官たちの居留地が与えられていました。

 

彼ら欧米人たちは、言葉の通じぬ日本人との仲介を、先んじて交流のあった中国人(華僑)に依頼しました。中国人たちは、既に中国本土で欧米諸国の外国人と貿易実績があったため交流が容易だったようです。さらに、日本人とも共通文字・漢字を用いたコミュニケーションが可能でした。

 

つまり、言葉の通じぬ欧米人たちと日本人の間を取り持ったのが、華僑を中心とした中国人たちだったのです!それゆえ、彼ら中国人たちは欧米人たちの住む高台の麓に居を構え、それが彼らの町「中華街」として形成された…というワケなんです!

 

軍港にも深さが必要!

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なお、この「港町」&「坂の町」は、三大中華街のある横浜、神戸、長崎に限ったことではありません。

 

戦前まで海軍の根拠地として栄えた、横須賀、舞鶴、呉、佐世保など…近代に作られた軍港都市も、

  • 背後に山がある
  • 深い入江になっている
  • 坂道に沿って町が形成されている

といった共通点が挙げられます。

 

ここでもやはり、背後に山を背負った深い海がある地域が選ばれていますよね。そのため、当然これら軍港都市も、市街地は概ね山の中腹に作らざるを得ません。つまり、港町は坂の町とセットに発展したものなのです。

 

ちなみに、埋め立て技術が進んだ現代では、背後に山を背負った天然の良港を探すよりも、沖合いに埋め立て地をつくって港湾整備をする方が合理的になっています。現在、日本最大の貿易額・貿易量を誇る名古屋港などは、その最たる例ですね。

 

一見、何も関係がなさそうな「中華街」と「坂の町」。実はその裏には、「港町」特有の地形が関係していたんです。面白いですよね!

 

皆さんも、もしも旅行先などで海に落ち込む急激な崖を目にしたら…ぜひその海面下の様子も想像してみてくださいね。そこはもしかしたら…天然の良港の可能性があるかもしれません。