『黒部ダム』は日本一のダム!
工期7年!殉職者171名を出した日本一の水力発電ダム『黒部ダム』!京阪神工業地帯が活況を呈したのは…この命懸けで作った巨大ダムのおかげ!なのです!
筆者紹介
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こちらの記事は【立山雄山縦走記】よりシリーズでお届けしております。
『黒部ダム』の歴史
戦後の復興期、日本の電力供給は危機に瀕していました。特に京都大阪神戸といった関西圏の諸都市の電力不足は深刻で、一般家庭は週に3日の休電日が設けられていたそうです。1週間の半分は電気が送られて来ないということですから…今では考えられないですよね。
そんな、深刻化する関西の電力事情を一気に打開する案として計画されたのが…富山県の最深部、立山連峰と後立山連峰に挟まれた大峡谷・黒部川上流域への水力発電ダムの建設でした。
当時、黒部川の最上流部は人跡未踏。徒歩でも立ち入るのが困難なエリアに、超巨大なダムを建設するという…途方もない計画です。
1956年に開始されたダム建設は、そのあまりにも奥地であるために困難を極めます。特に、巨大ダムを建造するために必須な重機の搬入は大きな課題でした。
当初は、人力(徒歩)や馬を使って山を越え、資材を搬入していましたが…一向に作業は捗らず。そのため、信濃大町から後立山連峰を貫く作業用トンネルを掘ることになります。
しかし…
ここで作業員たちを阻んだのが、破砕帯と呼ばれる難所でした。破砕帯は、後立山連峰の深部に貯えられた大量の地下水を含んだエリア。掘り進めるごとに大量の冷水が吹き出し、多くの作業員を苦しめました。この辺り、石原裕次郎主演の「黒部の太陽」という映画でも詳細に描かれています。
結局…工期7年にも及ぶ大工事のうえ、ようやくこの『黒部ダム』と「黒部川第四発電所」は完成します。ダムで貯えられた水量と発電量は圧倒的で、当時の京都府の電力の80%、大阪府の20%をこの黒部ダムだけで賄えたとも言われています。
この時作られたダム堤は、高さ186m。日本で最も高い堰堤を持つダムです。実はこれ、現在でも富山県で最も高い建造物なんです!総貯水量は約2億tというから…想像を絶する大きさですよね。
『黒部ダム』の見どころ/まわり方
そんな世紀の大工事の末完成した『黒部ダム』は、現在「立山黒部アルペンルート」という山岳観光ルートのひとつに組み込まれています。
立山黒部アルペンルートは、長野県側の大町市と富山県側の立山町の間を、6つの乗り物を乗り継いで貫く観光ルート。その、ハイライトがここ『黒部ダム』と最高所の「室堂」です。
『黒部ダム』への最短ルートは長野県側の入り口である「扇沢駅」から電気バスでアクセスです。ここから、前兆6kmに及ぶ長大なトンネルを抜けて黒部ダムへと向かいます。このトンネルこそが…破砕帯の苦難の上には貫かれた「関電トンネル」なんです!
さて。電気バスに揺られて15分ほど。遂に黒部ダム駅へと到着しました!ここからは、ルートはふたつに別れます。
この先、「立山黒部アルペンルート」を室堂方面へと行かれる場合は階段を下りてダム堰堤へと進んでください。
見どころのひとつが、駅から続く長いトンネルを抜ける瞬間!トンネル出口の向こうに広がる山肌に、否応なしに興奮度が高まります!
トンネルを抜けると…この景色!これが黒部ダムによって作られた人造湖「黒部湖」です。正面奧に見える巨大な山は「赤牛岳」ですね。
堰堤から見下ろすだけでもこの迫力!ちょうど放水しているタイミングでした。立山黒部アルペンルートの次の乗り物、立山ケーブルカーへはこの堰堤の突き当たりにある「黒部湖」駅から乗ることになります。
もしも黒部ダムをゆっくり見学なさりたい場合は、黒部ダム駅から220段の階段を上って先にある「ダム展望台」へどうぞ!アルプスの山並みと黒部湖、そしてダム全体を見渡すことができます。
もしも階段を上るのが大変な場合は…ダムを下から見上げる「レインボーテラス」がおすすめです。ダム堰堤から売店の脇に付けられた見学路を進むと…階段またはスロープで展望広場へと降りることができます。
レインボーテラスからは、目の前に巨大な壁!そして観光放水を眼前に見ることができます。この迫力は物凄い!午前中のうちは日が差して虹がかかることも多いのでぜひ狙ってください。
ここレインボーテラスの奧には、黒部ダム建造の歴史を学べる特設会場が作られています。
その名も「黒部の物語」。たくさんのパネルと当時の資料、そして映像作品で、黒部ダム建造の苦難の歴史を学ぶことができます。
特設会場の最奧では、黒部ダム建造に至る経緯や、その工事中の実際を見ることができる映像作品を上映しています。20分少々かかる作品でしたが…これがまた見事!
黒部ダムを見学される際は、ここでその歴史を学んでおくことを強くおすすめします。どうしてこんな山奥にこんな巨大なダムを建造しなければならなかったのか?どれだけの苦難の元に完成したのか?をとても深く理解することができます。
それらの苦難を知ってから改めて『黒部ダム』を見ると…その工事の壮絶さが良く分かります。ぜひ、新展望広場の特設会場へも、足を運んでみてください!
この後、室堂方面へ行かれる方は、ダム堰堤を先に進むと、立山ケーブルカーの黒部湖駅になります。この先も立山の絶景が続きますので、ぜひお楽しみください!
『黒部ダム』へのアクセス/駐車場/所要時間
黒部ダムへは、マイカーの乗り入れが規制されていますので、立山黒部アルペンルートの乗り物を乗り継いでのアクセスになります。
立山黒部アルペンルートは、富山県側の立山駅からと、長野県側の扇沢駅からアクセスすることになります。
最も近いのは扇沢駅からで、関電トンネル電気バスで16分ほどでアクセスできます。
富山県側からですと、立山駅からケーブルカーや登山バス、ロープウェイなどを乗り継いで120分ほどかかります。
黒部ダムの見学時間は、展望広場まで行くかどうかで大きく異なります。観光放水を見るだけならば、堰堤の上からでも眺められますので、15分ほどでも充分です。展望広場や特設展示場まで見てまわる場合は、60分ほどかけてゆっくり見てまわるのがおすすめです。
【立山雄山縦走記】3日目。立山登山を終えて、下山して来ました。立山黒部アルペンルートのクライマックス「黒部ダム」を見学し、この日は大町温泉に宿泊します。次回はお宿紹介です。お楽しみに!
『黒部ダム』の基本情報
アクセス
扇沢駅より電気バスで20分
立山駅よりケーブルカー他で120分
営業時間
7:00-17:00
※立山黒部アルペンルートの営業時間による
定休日
12月初旬~4月半ば
入場料金
無料
駐車場
なし
アドレス
0261-22-0804