NHK大河ドラマ『どうする家康』第38話コラム
こんばんは!旅行ブロガーにして、歴史地理コラムニストの旅人サイファです。毎週日曜日夜は、NHK大河ドラマ『どうする家康』コラムをお届けします。
筆者紹介
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織田信長の跡を継ぎ、天下統一を果たした豊臣秀吉。彼は、日本国内の内戦を治め、100年近くにも渡った戦国時代を終わらせるという功績を成し遂げましたが…その野望は尽きることはありませんでした。
天下統一を果たした秀吉は、日本国内だけでは飽き足らず、なんと中国大陸にまで侵略の手を伸ばしたのです。
当時の王朝は明国。前後の王朝と比較しても、決して強い政権ではありませんでしたが、それでも当時の超大国であることに変わりはありません。その広大な国土を占領するのは、精悍な日本兵と言えども至難のワザ。秀吉の妄想と言われてもおかしくない暴挙でした。
しかしこの唐入り(朝鮮出兵)には、あまり知られていませんが当時の日本国にとって重要な側面もありました。
それは、ついこの間まで時代の主役として重宝されてきた武士…つまり戦闘員の存在です。
彼らは戦国時代という、戦争の時代でこそ活躍できる人々。彼ら自身も、戦場を失っては生きる道を絶たれてしまうことを自覚していました。
そんな血気にはやる武士たちは、戦国時代の終わりと共に消えかけている戦場を求めていました。国内が平和になってしまえば、彼らは生きる道を失うのですから当然です。
そんな武士たちの捌け口として選ばれたのが、明国であり明への通り道であった朝鮮だったのです。これまで天下統一の覇業を支えてくれた武士たちに報いるためにも、秀吉は「戦場」を用意せねばならなかったのです。
「馬鹿げた戦じゃ!殿下は狐に取り憑かれておる!」
まさか、血族でもある股肱の臣・浅野長政が大きな声で諫めるとは思っていませんでしたが…秀吉に従う大名たちの多くも、その無茶な妄想に付いていけないというのが本音だったでしょう。豊臣政権は、天下統一というその偉業と共に大きなジレンマを抱えていたのです。
それにしても…妄執に取り憑かれた天下人を諫めるのは難儀であったでしょうね。誰もが間違っていると思っていても…天下人が怖くて誰も諫めることができない。現代社会でも似たようなことが良く見られていますよね。独裁国家とか。
「目を覚ませっ!猿っ!」
今回のハイライトは、家康が発したこの台詞でしょう。形式上、豊臣政権の重鎮として振る舞う徳川家康ですが、元々は秀吉の主君・織田信長の同盟相手で、格上の存在です。彼は敢えて「猿!」というかつての蔑称を吐くことで、当時の小さかった秀吉の存在を思い出させようとしたのでしょう。
それにしても…淀殿の魔性はヤバいですね。むしろ淀殿(茶々)本人こそが、戦国時代を終わらせることを否定しているかのような素振り。かなり危険なラスボスとして…家康の前に立ちはだかることになりそうです。
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