あの本願寺はここから始まった!『大谷本廟』は宗祖親鸞の墓所!
鎌倉時代に生まれ戦国時代に隆盛を極めた浄土真宗(本願寺)。浄土真宗を開いたのは親鸞上人とされていますが…しかし!その宗祖・親鸞は「浄土真宗」も「本願寺」も作っていないってご存知でしたか?
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『大谷本廟』の歴史
京都駅近くに大きな伽藍を持つ浄土真宗の「西本願寺」と「東本願寺」。この「本願寺」の歴史は複雑です。
そもそも、あまり知られていませんが…宗祖とされる親鸞は、「浄土真宗」などという教団は作っていませんし、「本願寺」という寺すら作っていないんです!…ご存知でしたか?
親鸞自身は、あくまでも浄土宗を立てた法然上人の弟子を自認していたようで、その浄土宗の教えを発展させた教えを広めていたに過ぎません。つまり、親鸞はあくまでも「浄土宗のお坊さん」「法然上人の弟子のひとり」のつもりだったようなのです。
え?ちょっと待って?教科書にも「浄土真宗を開いたのは親鸞」って書いてあるけど?
そう!そこが歴史のパラドックス!
実は、親鸞の教えを「浄土真宗」として教団化組織化したのも、「本願寺」を作り本山としたのも、全て彼の死後に後継者たちが勝手にやったことなんです!
親鸞は、1262年に京都市中の寺院で死去します。そして死の翌日、東山鳥辺野の南(現在の五条坂あたり)で荼毘に付されます。その後、鳥辺野の北(現在知恩院があるあたり)に墓所を築き納骨されます。この、最初に納骨された場所に作られたお堂が「大谷廟堂」と呼ばれたもので、この墓所が後の「本願寺」の基礎となるのです。
やがて江戸時代になると、知恩院拡張計画に伴って大谷廟堂を移転。現在の五条坂の入口に新たに作られたものを『大谷本廟』として、現在に至ります。この地は、かつて親鸞を荼毘にふした縁の地です。
ちなみに「本願寺」という寺名も、親鸞の廟堂に対して亀山天皇から「久遠実成阿弥陀本願寺」という名称が下賜されたことに由来します。
つまり…「本願寺教団」という、中世に一世を風靡した宗教勢力は、親鸞の廟所(お墓)からスタートしたものなのです!
ちなみに、浄土真宗(本願寺/一向宗)は室町時代(蓮如のころ)に飛躍的に発展し、戦国時代には一大勢力として諸大名の脅威になるほどの存在にまで拡大します。織田信長との石山合戦は有名ですよね。
織田信長に敗北し、石山の地を終われてからの浄土真宗は、戦国時代末期に分裂し大きくふたつの勢力に分派しました。
・通称 西本願寺
・本山 龍谷山本願寺
・大谷本廟←
・豊臣秀吉が保護
・龍谷大学ほかを有する
・通称 東本願寺
・本山 真宗本廟
・大谷祖廟
・徳川家康が保護
・大谷大学ほかを有する
現在も、京都駅の北側に「西本願寺」と「東本願寺」というふたつの巨大寺院が並び建っているのは、このような歴史からなのです。
今回ご紹介する『大谷本廟』は、西本願寺の管理する親鸞聖人の廟所です。
『大谷本廟』の見どころ
清水寺へ至る登り口、五条坂の程近くに『大谷本廟』は建てられています。清水寺へ向かう坂道はいつも多くの観光客で賑わっていますが…ここ『大谷本廟』は訪れる人もまばら。筆者も何度もこの道を通りかかっていますが…今回初めて足を踏み入れました。入口からまっすぐ伸びる参道が美しいですね。
まっすぐ伸びる参道を進み、階段を登ると総門があります。この門をくぐると、正面に現れるのが仏殿になります。
仏殿は内部に入ることも可能です。この建物は江戸時代末に焼失したものを明治3年に再建したものです。内部には歴代宗主のご絵像などが安置されているそうです。
仏殿の裏手には、広場が作られており、その一角に不思議な石窟が残されています。この石窟は、かつて親鸞聖人が若い頃にこの中で学問に励んだもの…とも伝わっています。
広場の正面にあるのが…ここ『大谷本廟』の本丸ともいえる明著堂です。この明著堂は、江戸時代末の火事でも類焼を免れた貴重なもの!この建物の真裏に、本願寺発祥の基礎である親鸞聖人の墓所(祖壇)が置かれています。
祖壇は実際に見ることはできませんが、門信徒の方々は、宗祖・親鸞聖人のおそばに…との思いで参拝されているようです。
敷地内には、広々とした門信徒のための墓地や、参拝に訪れる方々のための食堂や売店などもありますので、のんびり休憩なさるのも良いですね。
『大谷本廟』へのアクセス/駐車場
『大谷本廟』は、清水寺への登り口にありますので、目にされたことある方も多いでしょう。
最寄りのバス停は、京都市バスの五条坂バス停です。ここは清水寺への最寄りバス停でもありますので、普段から観光客の多いエリアでもあります。清水寺と合わせて訪れるのも良いですね。
電車の場合は、京阪電車の清水五条駅が最寄りになります。ただ、駅からは少し距離があり、徒歩15分ほど坂を登らねばなりません。
お車の場合は、京都駅から10分ほどです。敷地内には参拝者用の駐車場もあります。
【初夏の京都~名古屋庭園巡り旅行記】二日目。午後からは東山観光へと向かいました。大谷本廟を参拝したあとは、すぐ近くの美しい庭園を鑑賞しに行きました。次回もお楽しみに!
『大谷本廟』の基本情報
アクセス
京都駅より車で10分
参拝時間
5:30-17:00
定休日
年中無休
参拝料金
無料
駐車場
参拝者用無料駐車場あり
アドレス
075-531-4171