あなたは京都でも指折りの名庭園『白河院』をご存知ですか?
アメリカの日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング(The Journal of Japanese Gardening)」が毎年発表している、日本庭園ランキングをご存知でしょうか?
島根県の「足立美術館」が18年連続第一位の座を守りつづけてると評判の、あのランキングです。
毎年ノミネートされている隠れた名庭園とは?
そのランキングに掲載されている日本庭園は、どこも素晴らしい庭園ばかり!しかし、上位に並ぶ著名な庭園の中に…あまり見慣れぬ名前が並んでいることに気付きます。
そんな、高評価ながらも、あまり知名度が高くない庭園のひとつが…今回ご紹介する『白河院』という庭園です。
これは先ほど述べた「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング(The Journal of Japanese Gardening)」の過去のランキングです。
白河院 過去ランキング推移
2011年 20位
2012年 19位
2013年 19位
2014年 17位
2015年 22位
2016年 24位
2017年 23位
2018年 29位
2019年 33位
2020年 圏外
近年は、他の人気庭園が増えてきたことでランキング圏外になることも増えましたが、最高位で2008年の14位という、実はかなり高い評価を受けている日本庭園なんです!
しかも、この日本全国のランキングのうち、京都府内のスポットに限ると…ほぼ毎年トップ10圏内をキープしていたというからさらに驚きです。
しかし…この『白河院』、いつ作られたのか?どこにあるのか?どんな施設なのか?あまり存じ上げない方がほとんどではないでしょうか。
今回は、京都の穴場スポット!隠れた名庭園『白河院』を詳しくご紹介します!
白河院の歴史
白河院はもと藤原良房の別荘で、北家藤原氏によって代々受け継がれてきたが、藤原師実の時、白河天皇に献上され、承保2年(1075)天皇によってこの地に法勝寺が建立された。
法勝寺は、尊勝寺、最勝寺、円勝寺、成勝寺、延勝寺とともに六勝寺と総称された寺で、東は岡崎道より三百メートル東、西は岡崎道は南は現在の動物園の南、北は冷泉通より五十メートル南に囲まれた広大な寺域を有し、境内には、金堂、講堂、阿弥陀堂などの諸堂が立ち並んでいた。中でも、池の中島の八角九重塔は壮大な高塔であったといわれている。
しかし、文治元年(1185)の大地震により九重塔以外の諸堂の大半が倒壊し更に康永元年(1342)の火炎により残る堂舎も消失した。その後覚威和尚によって一部再建されたが衰退の一途を辿り、やがて廃寺となり、その後、大正、昭和を経て今日に至った。
京都市指定名勝案内文 より
元々は、藤原氏の邸宅だったものが、白河天皇に献上されて…というのがルーツのようですね。その後、長らく廃寺になっていましたが、大正時代に呉服商「下村忠兵衛」の邸宅として、現在に残る数寄屋建築と日本庭園を造営しました。
『白河院』の拝観方法
そんな『白河院』ですが、実は現在は…なんとホテルになっています。私立学校職員のための組合「私学共済」の持つ保養所という扱いですが、空き室があれば一般の方でも宿泊可能とか!
実は筆者は、5.6年前のお正月にこちらに宿泊したことがあるんです!父親が私学共済の会員でしたので。その時は今ほど庭園鑑賞に興味がなかったのが、なんとももったいない!
ちなみに、宿泊しなくとも、お庭の見学だけでしたら随時受け入れて下さいます。今回は、別館にあるフロントに声をかければ、二つ返事でOK頂きました!
そしてこちらの嬉しいポイントがふたつ!
ひとつは、拝観時間に規定がないこと!早朝でもフロントで許可を頂ければ、拝観可能です。また、夜間ほのかにライトアップされる風景も、また素晴らしいものです。
もうひとつは、なんと拝観料金が無料ということ!こんなに素晴らしいお庭ながら、拝観料金無しで散策させて頂けるんです!筆者なら有料でも喜んでお邪魔させて頂きますけどね…なんともありがたや!
池泉回遊式庭園と数寄屋造りが見事!
ここ『白河院』はお庭に入って拝観することができます。決して大規模なお庭ではありませんが、木々が高く生い茂り、また周囲に高い建物もないので、余計なものが視界に入ってきません。
また傍らに建つ、数寄屋造りの本館がまた素晴らしい!庭園と見事にマッチした佇まいですね。
数寄屋造りの本館へ立ち入ることができるのは、宿泊者のみの特権のようです。立ち寄り拝観の方は見学することができません。本館から見るお庭は…さぞ美しいことでしょう!
実は、以前筆者が宿泊した際は、あの本館でお食事を頂いたんですけどね…この1枚しか写真撮ってなかった!もったいないー!
『白河院』の作庭は、あの「小川治兵衛」
白河院の庭園と作者・小川治兵衛
当庭は、琵琶湖疏水から水を引き入れ、東山を借景とした池泉回遊式で、一隅に滝を配した本格的な庭園です。
この作者小川治兵衛は、通称「植治」と言い、代々植木を家業とした家柄で七代目となります。
遠州流造庭法の奥義をきわめ、小川流と呼ばれる独自の造園術を創始した人物で、主な作品としては、山縣有朋の別邸「無鄰奄」、平安神宮の「神苑」、円山公園、等々有名箇所が多数あり、御所の庭師として活躍したこともあります。
庭内には松・躑躅・藤・紅葉・他多種の樹木があり、四季折々の風情と庭師の技術の深みを感じていただけることができると思います。
『白河院』の庭園は、近代日本庭園の祖ともいえる小川治兵衛の作庭です。木々と厚さと水の流れを巧みに使った作庭はやはり素晴らしい!
『白河院』へのアクセス
『白河院』へのアクセスは、市営地下鉄東西線「蹴上駅」から徒歩15分ほどです。市バスでは、銀閣寺方面へ行く5系統「岡崎法勝寺町」バス停の目の前にあります。
京都市動物園のすぐ裏手といえば分かりやすいかもしれません。
表に拝観案内等は掲げられていませんので、知っている人しか訪れない、穴場中の穴場スポットです。
え。本当に入って…いいの?
初めての場合は緊張するかもしれませんが、フロントで快く応じてくださるはずです。
また周辺には、もみじで有名な「永観堂禅林寺」、楼門で有名な「南禅寺」、明治の元勲・山県有朋の別邸「無鄰菴」など、京都でも最高クラスの絶景スポットが目白押し!どれも徒歩圏内にありますので、合わせて散策なさってください。
特に、朝早くなど、他のスポットが開門していないような時間でも見学させて頂けるので、ぜひ一度訪れてみてください!
今回は、京都屈指の日本庭園を有する『白河院』のご紹介でした!
アクセス
京都市バス 岡崎法勝寺町バス停目の前
拝観時間
規定なし(フロントで許可を頂いてください)
定休日
年中無休
拝観料金
無料
駐車場
宿泊者用駐車場あり
アドレス
075-761-0201
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