いよいよ!沖縄県の鉄道計画に現実味か!?
昭和の昔から、立ち上がっては消え、立ち上がっては消えてを繰り返していた、沖縄県の鉄道整備計画が、新たな局面を向かえそうです。
沖縄縦貫鉄道計画に「整備新幹線方式」導入。内閣府が特例制度を検討へ | タビリス
沖縄県は、本土から隔絶された離島という地理的事情や、地域経済が脆弱であるという社会的事情から、日本政府より、他県より手厚い振興策が取られています。その振興策の基礎となるのが「沖縄振興基本方針」という国家的指針です。
この方針は内閣総理大臣が10年ごとに更新・策定するもので、沖縄県の振興策はこの基本方針に沿って実施されるのです。
2022年は、その「沖縄振興基本方針」が更新される節目の年です。この度、新たな基本方針が示されましたが…その中に、ある画期的な一文が載せられ話題となっています。
整備新幹線方式に
その新たな沖縄振興基本方針案が策定され、首相の諮問機関である沖縄振興審議会で「適当」と認められました。
鉄軌道整備について注目すべき内容は、「全国新幹線鉄道整備法を参考とした特例制度を含め、調査・検討を行う」と盛り込まれたことです。この意味するところは、整備新幹線並みの手厚い補助制度を、沖縄鉄軌道に適用する検討を首相が指示したということです。
鉄道新線を建設する場合、一般に適用されるのは「都市鉄道利便増進事業費補助」で、国の補助率は3分の1です。残り3分の1を地方自治体、同じく3分の1を事業者が負担するという枠組みです。
これに対し、整備新幹線方式では、JRが支払う貸付料を充てた後、残額の3分の2を国が、3分の1を地方が負担します。さらに、地方負担分に特別交付税が措置されますので、地方の実質的な負担額は12.3~18.3%程度と大幅に軽減されます。
つまり!通常の鉄道路線建設とは異なり、建設費の85%ほどを国が負担してくれるということ!これは、沖縄県内に新たな鉄道路線が作られるハードルが大きく低下したことを意味しているのです。
実は、沖縄県には古くから鉄道建設計画が存在しているんです。
県南部の糸満市から、那覇市を経由して北部の名護市まで、「沖縄縦貫鉄道」のルートは概ね確定しています。
しかしこの鉄道計画も、黒字経営の見通しが立っていなければ、実際にゴーサインは出されません。沖縄県は、国を「整備する価値がある」と納得させられなければ、この計画も絵に描いた餅でしかないのです。
沖縄県は、2000年にゆいレールが開通するまで、日本で唯一鉄道路線のない県でした。そのため、沖縄の交通は圧倒的に車社会。マイカーありきで町作りがなされています。
※戦前は鉄道が走っていましたが
こんな沖縄県に北部まで伸ばす長距離鉄道を作る…。果たして効果はあるのでしょうか?国鉄時代であれば、赤字にも目を瞑り、インフラのひとつとして整備もできたとは思うのですが。
ひとつ気になるポイントは、本土の若者の「車離れ」です。近年、若者は車、特にマイカーへの興味が低くなっていると言われています。それに合わせて、運転免許の取得率すらも低下しています。特に都市部ではその傾向が顕著。
つまり、これからはどんどん「運転ができない人」が一定数増えるということ。沖縄の観光はレンタカー利用が主流です。那覇市内はともかく、その他は観光地もホテルも「レンタカーありき」で作られている現状では、車の運転ができない場合、沖縄観光の難易度はとてもハードルが上がってしまうのです。
そんな、車の運転ができない層からのニーズを先読みする形で…鉄道整備を進めていくという論調は悪くないでしょう。また、地元の沖縄県民の高齢化への対策としても、鉄道の需要はありそうです。さらに速度にもよりますが、名護市から那覇市まで60分程度で行けるのであれば、那覇通勤圏も大きく広がることになります。
決して無駄ばかりではない、沖縄の鉄道整備計画。今回、「整備新幹線方式」が示唆されたことで、もしかしたら本格的に鉄道整備が進む可能性があります。
ただし、あくまで「整備新幹線方式」を取るというだけで、「沖縄に新幹線を走らせる」ワケでありません!誤解ないように!