こんにちは!旅人サイファです。
突然ですが…京都に忍者屋敷があるって、ご存知でしたか?
え?忍者?伊賀とか甲賀のアレ?あー、アレでしょ?太秦映画村のからくり忍者屋敷!
いやいやいや!そんな偽物ではなく!あるんですよ!仕掛け満載のお屋敷が!
今回は【紅葉の京都ひとり旅】から、知る人ぞ知る、ある秘密のスポットへご案内しますよー!
こちらのスポットの見学には、事前予約が必要です。特に昨今は、感染対策から予約枠も制限されているので、もしもご興味ありましたら早めに予定立ててご予約してください。(枠に余裕があれば当日でも受け付けて下さるようです)
この秘密のスポットは「小川家住宅」。通称『二条陣屋(にじょうじんや)』です。予約の電話を入れる際も、「はい。小川でございます。」と言われますのでびっくりしないように!
「二条陣屋の見学の件で…」と伝えればスムーズに予約できますよ。
場所は、地下鉄二条城前駅から徒歩5分ほど。世界遺産二条城の南側、住宅街の中にひっそりと佇んでいます。
ちなみに、ここの主人「小川」さんは、元戦国大名とも言われています。しかも、かの関ヶ原の戦いにも参戦しているんですよ!
歴史マニアはピン!と来たかもしれませんね!
それがこの人「小川佑忠(おがわ すけただ)」!当時、伊予今治七万石を領有していた、立派な戦国大名なんです。
この小川佑忠公は、関ヶ原の戦いで西軍として出陣、戦場の南西部に陣を張っていました。
関ヶ原の戦いは、東西合わせて15万ともいわれる、日本史上最大級の大会戦。一進一退の攻防の最中、関ヶ原の南西に位置する松尾山に陣取っていた西軍の小早川秀秋が突如寝返ります。
それを見た松尾山の麓に陣取っていた諸将(脇坂安治、朽木元綱、赤座直保、小川佑忠)も相次いで東軍方へ寝返り、一斉に西軍への攻撃を開始します。この寝返りの結果…西軍は壊滅。関ヶ原の戦いは東軍大勝利に終わるのです。
この時、小早川秀秋に追随して裏切りを敢行した武将4人のうちのひとりが「小川佑忠」その人。東軍大勝利の立役者として、有頂天の小川佑忠でしたが…戦後に待っていたのは過酷な沙汰でした。
なんと、勝利した徳川家康から小川佑忠へ通達された内容は領地没収!
大名としての身分を剥奪され追放の憂き目に遭ってしまうのです。寝返った他の武将たちは、予め東軍側に申し送っていた寝返りでしたが、小川佑忠ともうひとり赤座直保(あかざ なおやす)の寝返りは、そういった裏工作もない、周囲の勢いに任せただけの汚い行為とみなされたのでしょう。
落剥した小川佑忠は、やがて武士の身分を捨て、京都で両替商へと転身します。その子孫が、ここ「小川家住宅」つまり『二条陣屋』に現在も住まわれているのです!(諸説あり)
さて、インターホンを押して予約名を告げると玄関が開き、内部に招き入れられます。こちらで受付と拝観料をお支払い。予定時間になったら、ガイドさんと共に内部拝観へ出発です。
ちなみにこの建築物は、戦前に国宝として指定されている、立派な文化財!現在は国の重要文化財として指定されています。いわゆる旧国宝ですね。
しかも、民家としては全国でも2例目!
この『二条陣屋』は、江戸時代当時いくつかの役割を複数担っていたようです。
1つめが、全国の大名の宿泊所(陣屋)としての役割です。
当時江戸幕府は、大名が朝廷と特別な繋がりを持つことがないよう、京都に屋敷を作ることや、京都に長期間滞在することを制限していました。
例外的に、江戸幕府の京都出張所である二条城や京都所司代で用事がある場合など、限定的な宿泊所として、二条周辺の豪商屋敷をあてがっていました。大名はそこに宿泊して用事を済ませたようです。つまり、宿場町でいう本陣(宿舎)の役割ですね。ここ「小川家住宅」が陣屋として選ばれたのは、小川佑忠が元大名だという家柄や、かつての人脈が活きたのでしょう。
2つめの役割が、京都所司代で行われる裁判沙汰関係者の宿泊所としての機能です。
小川家は、公事師(現在の弁護士)業務もしていました。裁判は通常長くかかります。そのため、関係者が長期間逗留できる宿泊場所が必要だったのです。京都所司代からすぐ近くの「小川家」はぴったりだったようですね。
3つめが、小川家の本業でもある両替屋(貸金業)としての役割です。
この建物には、お客様専用の入り口も設けられており、また主人と密談するのに最適なお茶室もいくつか作られています。小川家は、両替商として成功し、この豪奢なお屋敷を築造したとも伝わっています。
さて、ここ『二条陣屋』では、実際に大名も宿泊したと記録が残っているそうです。そのため、大名(お殿様)をお迎えするだけの格式高い部屋がしつらえてあります。
写真のこの部屋は、その大名(お殿様)が実際に宿泊される主室。そのため、床の間や違い棚など、各所に風流なしつらえが作られています。
例えば隣のお部屋。ここはそのまま能を舞えるような舞台装置が備えられています。
床下はあえて空間と空の水瓶が据えられており、演者が床を踏み込むと、音が大きく響くよう作られています。
また、欄間には花びら型の穴が開けられており、主室の明かりを消すと…ご覧のとおり!なんとも風流な影が出現するんです!
また、こちらの障子に作られている組子。何だか不思議な作りですよね?
よーく見ていると…漢字に見えて来ませんか?…「小川」!そう!小川家の「小」と「川」の字をあしらった、これもまた風流な遊び心!
さあ驚くのはここからです。
この主室。屋根をご覧ください。一見普通の屋根に見えますが…ライトの左側に、一部分不思議な切れ目が見えます。
この屋根の切り取り部分、上座にいる殿様にしか見えません。殿様の座る位置から見上げて見ると…隠し窓!
実はここに護衛の者が潜んでいて、殿様に危険が迫った時にここから武士が降りてくるという仕掛け!
また奥の廊下には、天井の一部分を下ろすと出現する隠し階段や…
壁の向こう側を見張ることができる隠し窓や、蓋を閉めたら見つけることができない隠し階段など、要人を護衛する仕掛けが盛りだくさん!まさに仕掛け満載の忍者屋敷!
内部構造は複雑怪奇!ガイドさん無しでは絶対に迷子です(笑)それに、この建物にはまだ小川家の方が居住されています。どこにそんな生活エリアが?と疑問になるほど、不思議な空間が広がっています!勝手に歩き回るのは厳禁ですのでご注意を!
実は、現在の小川家と関ヶ原に参戦した小川佑忠との繋がりを示す確証は無いようですが…その辺りも含めて、歴史ロマン溢れる建築物です。実際に忍者が住んでいた訳ではありませんが、要人警護のための防衛設備が残る素晴らしい施設です。
いかがでしたか?関ヶ原の戦い後から脈々と繋がる歴史ある建築物『二条陣屋』!完全予約制ですので、ぜひ予約して、この不思議な空間を楽しんでください!仕掛けだらけのお屋敷に…仰天しますよ!
二条陣屋 小川家住宅
アクセス
京都市営地下鉄東西線 二条城前駅より徒歩3分
市バス15系統 神泉苑前より徒歩2分
営業時間
見学は1日4回 各回1時間ほど 各回定員10名
10:00-
11:30-
13:30-
15:00-
定休日
毎週水曜日(祝日の場合は営業)
拝観料金
大人 1000円
中学生・高校生 500円
駐車場
なし 周辺コインパーキング利用
アドレス
075-841-0972(ご予約もこちらから)
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