こんにちは！旅人サイファです。
今回はネットニュースで見つけたこちらの記事から。
観光庁、「第2のふるさとプロジェクト」公募開始、「何度も地域に通う旅、帰る旅」を開拓へ｜トラベルボイス（観光産業ニュース）
ふむふむ。コンセプトは「何度も地域に通う旅、帰る旅」。
観光庁は、「第2のふるさとづくりプロジェクト」を立ち上げ、取り組みの方向性や具体的な内容について検討を行うため、有識者会議を開催する。このプロジェクトは、「何度も地域に通う旅、帰る旅」という旅のスタイルの推進、関係人口の推進・定着させることで、国内観光の新しい需要を掘り起こし、地域経済の活性化につなげることを目的とするもの。
この背景には、コロナの影響によって、密を避けて、自然環境にふれるニーズが増加しているほか、大都市の若者が田舎に憧れを持つ動きがある。
観光庁は、人材派遣や地域課題解決に参画する滞在型コンテンツの開発、古民家活用や空き家の再生による滞在環境の整備、観光型MaaSやサブスクリプションプランによる移動の確保などを通じて、地域が一体となった活性化を図っていきたい考えだ。
要約すると、全く訪れたことのない町へ旅行するのではなく、同じ町に何度も通って、深くその町を知る旅行スタイルの推進…といったところでしょうか。
恐らく究極的に目指したいのは「移住」なんでしょうね。ただ、「移住」となるとハードルが高いので、まずは現地に通ってもらうことを入り口とするプロジェクトってところでしょうか？
同じところに通うスタイルの旅行…昭和時代に流行りましたよね。そう『別荘』と近いコンセプトです。休みごとに特定の地方に購入した別荘に宿泊し、のんびりと過ごしつつ周辺観光もするスタイル。
現在では、ごく一部の富裕層しか保持していないだろう別荘。バブル当時は、みなこぞって別荘の購入に走りました。しかし、なぜこの流行りが続かなかったかというと、最も大きなファクターが「旅行が非日常じゃなくなる」ことと、「コスパに合わない」から。
忙しい日常から離れて旅行に出たはずなのに、別荘になると、まずは掃除と食料買い出しから始まりますし、立ち寄る観光スポットも毎度同じ場所。マンネリが過ぎて、子供たちから「またー？」と言われる始末。せっかく高いお金を出して買った憧れの別荘なのに！
最後には、半ば義務的に「別荘があるからあそこに行かなければならない！」という本末転倒な事態になることも多々ありました。行きたくない旅行ってなにさ！(笑)
それにもうひとつ、同じ場所に何度も通うスタイルの旅行の難点は「移動コストが割高に感じる」こと。
旅行に行く際に避けて通れないのは、移動コスト(交通費)と宿泊費です。宿泊費に関しては、このプロジェクトでは、空き家の利用や古民家の再生などを例示しています。
これ、急速な人口減少による空き家対策としてもとても良いアイディアだと思います。空き家を眠らせておくよりは、格安でも貸し出して少しでも収入を発生させた方がベターですよね。ユーザーにとってみても、格安で宿泊できるのは大歓迎！しかも、掃除や食事の心配も無用であれば言うことなし！
しかし、同じ場所に何度も通っていると、移動コスト(交通費)が、だんだん割高に感じてくるものです。知らない土地へ行くワクワク感が薄れ、往復の交通費を渋るようになり、やがては足も向けなくなる…という心理パターンに、人間は陥りやすいものです。
もしも、この『第2のふるさと作りプロジェクト』を恒久化させたいのであれば、交通費への援助やお得感がキーワードになることでしょう。例えば、片道の交通費無料(補助)だとか、年間サブスクで好きな時に新幹線(航空機)乗り放題だとか！このあたりは、自治体がどれだけ覚悟をもって企画できるか…にかかって来そうです。
またもうひとつ、このプロジェクトの肝になるのが「現地の人との人間関係」です。観光だけではなく、「あの人に会いに行こう！」と思える関係性が作れれば、人は何度もその土地に通います。
かつて、流行った「別荘ビジネス」の二の舞になる危険性を秘めているこの『第2のふるさと作りプロジェクト』。かつての失敗を活かして、どうにか地方活性化に繋げて欲しいものです。
「東京モンは疫病を持ってくる！」とか「余所者は来るな！」とかいうメンタルでは、また同じ過ちを繰り返しますよ？
