こんにちは!旅人サイファです。
今回は、前回記事にしました『郡』の話から派生して『区』の話。
前回の記事で郡と市の関係を述べた際、『煩雑になるので東京23区は除外します』としました。
現在は『東京23区』とその他全国にある『市』はほぼイコールのものと捉えられています。
区役所=市役所
区長=市長
区議会=市議会
区立小学校=市立小学校
しかしなぜ、東京23区だけが『市』ではなく『区』なのでしょうか?
また、これとは別に同じく『区』を名乗るものが、全国の政令指定都市内に存在します。
東京の『区』と、その他全国の政令指定都市内にある『区』…同じじゃないの?
この『区』の発祥は明治時代まで遡ります。
このころ、東京には『東京府』が置かれていました。
『東京都』ではなく『東京府』!です。ここがポイント!
明治11年に『郡区町村編制法』という法律が作られ、現代にも通ずる『県(府)→郡→町or村』という区分けが作られました。
そしてその際に、人口の多い東京府、京都府、大阪府のいわゆる『三府』には、特別に複数の『区』が置かれます。
この時に現在の東京中心部に作られたのが『東京15区』です。
その後、人口増加を受けて周辺エリアを編入し『東京35区』へと拡大します。
※東京の区の変遷については別に記事にします
続いて、明治22年に初めて『市』が作られた際、『三府』にだけは『府→郡→町or村』の区分の他に、中心部に『府→市→区』という区分が作られるのです。
こうして、当時の東京中心部は『東京府→東京市→●●区』という表記になりました。
あれちょっと待って?これって、現在の政令指定都市の住所表記と同じじゃん!
そうなのです!この当時は、東京にある『区』も、現在その他全国の政令指定都市にある『区』と意味合いは同じ!
あくまで『市』の下に置かれる区分けに過ぎませんでした。
しかし、太平洋戦争中の昭和18年、『東京府』と『東京市』が突如として統合廃止されます。
裏には戦争遂行を継続するためという内務省(当時)の思惑があったようですが…こうして誕生したのが現在まで続く『東京都』!
そして東京にあった『35区』がそのまま東京都の直轄となります。
これ以降、東京中心部の住所表記は『東京都→●●区』…現在と同じものになるのです。
ここから、『郡』にも『市』にも属さない、不思議な『区』という特別扱いが誕生します。
やがて、この『東京35区』が再編成されて現在の『東京23区』になるのは戦後のことです。
このように、元々は他の政令指定都市と同じく東京の区の上にもちゃんと『東京市』が存在していました。
現在のような、『東京都』に直轄する『東京23区』という特別な区分けになったのです。
この市に準ずる特別な区を『特別区』といいます。
ちなみに、東京以外の政令指定都市に置かれている区は『行政区』といいます。
これはあくまで、広すぎる市域を区画しただけのものですので、区長は選挙では選ばれずに、市役所から派遣された事務職でしかありません。
数年来、大阪維新の会が実現させようとしていた『大阪都構想』も、本質的にはこの昭和18年の動きと同じです。
『大阪府』と『大阪市』を統合させることで、『大阪都』を作り、その直属として『区』を成立させる…!
80年前の東京が行ったルートをトレースしたものですね。
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