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日本一の城下町が残る町 (後編)  萩の話

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今回も日本一の城下町 萩の話です。

前回のお話で、萩という町は毛利家にとって『望まぬ城』であったという話をしました。

萩という町のその後の話です…。

② 捨てられた都市

江戸時代を通じて毛利家は『面従腹背』。

表向きは幕府に従う姿勢を見せ、その内実は反抗心を秘めていました。

萩という寒村に押し込められ、鬱屈した日々を送る。

そして、関ヶ原の恨み忘れるな…と反徳川の感情を隠しながら抱き続けます。

それからおよそ350年後。

ペリー来航を期に幕末の動乱が始まると、反幕府の急先鋒として活動したのが長州藩毛利家でした。

やがて薩摩藩島津家と手を組み明治維新へと突き進むのです。

毛利家も島津家も、共に関ヶ原で西軍に属した組。

取り潰しはされなかったものの、反乱分子として幕府から厳しい目で見られていた組というところが面白いですよね。

関ヶ原の際の島津の動きはこちらの記事へ

(ちなみにもうひとつの同胞の土佐藩は一風変わった感情を秘めています。)

この幕末期。

幕府の力が弱まったところを見て、長州藩はかつてでは想像もできなかったことをやります。

なんと。

幕府を無視して引っ越しをするのです!!

それも、以前江戸幕府に却下された山口へ新しく城を建てて! 

江戸時代初期にこれをやったら、法律(武家緒法度)違反!!

ということで取り潰しの対象です。

すでに幕府にはそんな力はない!

と、読みきっての引っ越しだったのでしょう。 

こうして、毛利家の殿様はじめ中心人物は全員『押し付けられた都市・萩』を捨て、山口へ移ってしまうのです。

萩は元の寒村へ戻ることとなります。

萩は…捨てられたのです。

③ 英雄たちの故郷

こうして捨てられた都市となった萩。

しかし萩には、もぬけの殻となった城も武家屋敷もそのまま残されていました。

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もしかしたら『いつか帰ってくるかも』という考えもあったかもしれない。

これら居住者不在の町が壊されずに残ったのは何故でしょう。 

それは、明治維新を成し遂げ、新政府を作った英雄たちの故郷であったためと予想します。

吉田松陰木戸孝允高杉晋作山県有朋の生まれ故郷。

そして伊藤博文をはじめ新政府の要人が松下村塾で学んだ土地。

吉田松陰を祀る松陰神社の境内には、なんと彼らの学舎『松下村塾』が当時そのまま残されています。

木戸孝允高杉晋作の生家も…当時のそのまま見事に保存されています。

上級武士の家老屋敷なども当時と変わらぬ姿でその場所にあります。

英雄たちの故地を存外に扱うな…という意識もあったのでしょう。

城下町や武家屋敷がそのまま保管される結果になりました。

極めつけは、鉄道駅。

地図を開けば分かりますが、萩の城下町は堀と川に挟まれた島状の三角州に位置します。

大正時代に鉄道が引かれた際に、線路はその萩の中心エリアには入らず、川の外側に作られました。

通常、鉄道が引かれ…駅が作られると周辺は都市化します。

商店が作られ、飲食店が並び、大型店舗が建てられ、ホテルが開業し…。

ですが、鉄道駅は萩の中心地まで引かれませんでした。

その結果、萩の中心部は都市化されず城下町そのものが丸々残されることになったのです。

日本海側でメイン交通路からも外れている萩市

現在は人口5万人程度の小都市です。

お陰で貴重な町並みが保存されているのは…大きな皮肉ですね。

今も残る萩の城下町。

萩城こそ破却され石垣のみの姿になっていますが、その周辺の重臣屋敷から中級、下級武士の屋敷まで、そっくりそのまま!きちんと保存されています。

驚くべきことに…電柱すら立っていないエリアが多いのです!

なので江戸時代そのまま!本物の町並みがそのまま堪能できる、日本最高の城下町遺構の残る町。

それが萩城城下町なのです!

萩にいらっしゃる場合はぜひ!歩いてその城下町を楽しんでください!

本当にタイムスリップしたかのような体験ができるのは…日本ではここ、萩だけだと思います。

前編はこちらから!